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オバマ政権の自動車業界再建イニシアチブ - ゼネラル・モーターズ社再建計画

ホワイトハウス・ファクトシート

2009年5月31日

 2009年3月30日、オバマ大統領は、ゼネラル・モーターズ社(GM)が存続するための再建計画の枠組みを明らかにした。この計画では、経営計画の見直し、事業のリストラの加速、負債残高の大幅な縮小が同社に求められる。2カ月にわたり経営陣の深い関与のもと議論が重ねられた結果、GMは上記のような再建計画を策定し、その実現に向けすでに前進を始めている。また既に、すべての主要な利害関係者から、この計画を前進させるために必要な、意義ある犠牲を払う用意があるという確約を取り付けている。その結果、大統領はGMの再建計画が実行可能であると判断し、その計画に対し、連邦政府による約300億ドルの追加支援を決めた。この計画の遂行のため、同社は米国連邦破産法第363項を用いて、新生GMの実現を阻む障害をすべて取り除く予定である。

 100年近くにわたり、GMは世界で最も著名であり、かつ最も大きな企業のひとつに数えられてきた。そのようなGMにとって、今日は古いGMが終わり、新生GMが始まった日として、新たな歴史の1ページを刻む日になるであろう。

GMの再建―犠牲の共有

 大統領は、今回の一連の過程を通じて、いかなるGMの利害関係者も犠牲を払うことを求められること、そして政府の関与によって特別扱いを受ける者はいないことを明確に示してきた。合意した内容は厳しいものではあるものの公平で、GMの主要な利害関係者からも幅広い支持を受けている。

  • 事業のリストラ GMは、過去の失敗に対処し、全体の費用構造を飛躍的に改善し、自動車市場の回復が緩やかなものになった場合でも利益を上げることができるような、抜本的な事業のリストラに取り掛かっている。こうしたリストラ努力の結果、GMは、年間販売台数ベースでの収益分岐点を1000万台まで引き下げるであろう。リストラ計画実施以前は、年間1600万台を超えていた。

  • 全米自動車労組(UAW) UAWは、賃金と退職者の医療保険に関し、難しいけれども重要な譲歩を行った。これによって、現役従業員の職と退職者の年金と医療保険を守り、GMをより競争力のある会社にすることができる。事実上すべての点で、UAWが合意した譲歩は、ブッシュ政権がGMとの融資契約で当初要求していた内容よりもはるかに積極的なものになっている。とりわけ、GMが200億ドルの拠出義務を負っている、UAWの既存の退職者向け医療保険基金(VEBA)に替わり、以下で説明する新たなVEBAを設立する。

  • 運営委員会内のGMの無担保社債保有者は、GMの無担保社債保有者の少なくとも54%が、彼らの所有する271億ドルの無担保債務と引き換えに、新生GMの株式の10%を案分して取得するとともに、15%のワラント(新株購入権)を取得することに同意したことを確認した。運営委員会は、この取り決めを支持する個人の社債保有者および機関社債保有者の数は、現在1000を超えていると確認した。今後は、破産裁判所の手続きを経て、これらの社債保有者、ならびに前述の過半数が受け入れた取引に応じなかった、あるいは参加しなかった他の無担保債権者も同じ扱いをすることを確認することになる。

  • 痛みを伴うが必要不可避のリストラ計画が今後、実施される。GMの製造設備の規模を市場シェアに合わせるためだけでなく、経済と自動車市場が回復した際の生産増加を考慮して、GMは工場の操業を一部停止することとした。本日、11拠点の閉鎖と3拠点の休止を発表する。

新生GM設立に向けた具体的計画

 米国政府がGMへの融資債権の大部分を放棄するのと引き換えに、新たに組織されたGMは、米国連邦破産法11条に基づく事業計画を実施するために必要な旧GMのほぼすべての資産を取得する。

  • 新生GMは、退職者に医療保険を提供する独立基金(VEBA)を設立する。VEBAの設立資金には、2017年までに3回分割で支払われる25億ドルの支払手形、および65億ドル相当の利回り9%の永久優先株があてられる。VEBAは新生GM株の17.5%、およびワラントの2.5%を取得する。VEBAは独立した取締役を1人選任する権利を有するが、議決権およびその他の経営に関する権利を持たない。

  • 時間給従業員および給与従業員の正規年金制度は、取得プロセスの一環として、新生GMに引き継がれる。

  • 米国財務省は、連邦破産法11条の迅速な手続きを通じてGMを支援し、リストラ計画を通じて新生GMへの移行を後押しするため、約301億ドルを拠出する準備ができている。財務省はこれ以上の追加支援を想定していない。財務省が既に約束した資金と今回の301億ドルの追加支援と引き換えに、米国政府は約88億ドルに及ぶ新生GMの債務と優先株を引き受けるほか、新生GM株の60%を取得する。財務省は、設立当初に、VEBAとカナダ政府が選任する取締役以外の取締役を選任する権利を保有する。

  • カナダ政府とオンタリオ州政府は、米国財務省と並行して、旧GMと新生GMに95億ドルを融資する。カナダ政府とオンタリオ州政府は約17億ドルの債務と優先株を引き受け、新生GM株の約12%を取得する。カナダ政府は、多大な財政支援を行うことから、設立当初に取締役を1人選任する権利を有する。

  • これらの措置を取ることで、新生GMは債務を大幅に減らし、世界水準のバランスシートを達成することになる。これにより、同社は、将来的な市場の冷えこみに対応できるよう財務体質を安定させ、事業へ投資するための豊富なフリー・キャッシュフローを生み出すことができる。

  • 新生GMは、UAWの遊休工場で新たな小型車を生産する、という約束を遂行する。その結果、米国内販売に対する国内生産の比率が66%から70%以上に高まる。

政府保有の株式の運用原則

 オバマ政権は、不本意な株主でありながら納税者の財産の注意深き管理人であることに政府の役割を明確に制限するという目的にのっとり、政府が保有する民間企業の株式の運用に適用される4つの主要原則を策定した。これらの原則は、米国政府によるGMの株式保有にも適用される。

  • 政府は、必要以上に長期にわたり企業の株式を保有することを望まないし、その持ち分をできるだけ速やかに売却するように努める。私たちの目的は、政府の関与なしにすぐに利益を上げて、経済成長および雇用創出に貢献できる、存続可能な強い企業を助成することである。

  • 例外として、多大な支援を求める企業の要請に応じることが必要であると米国政府が判断した場合には、政府は、納税者を保護し、財務状況を改善し、成長を促すために、経営条件を付ける権利を有する。必要な場合は、これらの条件には、現在GMで進行中のものと同様のリストラ策のほか、会社を立て直して収益を上げ、政府支援の必要性を現実的に可能な限り早くなくすために、健全な長期的視野を持った経営陣を選任する強力な取締役会を確保するための変更点が含まれる。

  • いかなる経営条件を設置しても、政府は、その保有株式を干渉せず、商業的な方法で運用することにより、納税者による投資を保護する。政府は、企業の日常業務に干渉したり、これを支配したりしない。いかなる政府職員も、取締役会の一員となったり、またはこれらの企業に雇用されたりすることはない。

  • 普通株主として、政府は、取締役会の選任および主要な企業事案や取引など、重要な経営案件についてのみ、議決権を行使する。政府は、納税者の財産を保護すると同時に、限られているとはいえ、政府に与えられたこうした権利をいかに行使するかに関しては、非常に厳格に対処するつもりである。

顧客への保証義務

 GMは引き続き顧客への保証義務を負う。先週、米国財務省はGMに対し、保証支援プログラムを用意し、このリストラ期間中に販売された自動車に対する保証の支払いが整然となされるよう、補強策を提供するために、特別な手段に3億6100万ドルを資金として提供した。

破産手続き

 この手続きの間、GMは通常通り事業を継続する。事業の観点からすれば、破産法の手続きを申請した翌日は、実質的に申請の前日となんら変わることはない。以下の関係者は下記に示すように扱われる。

  • 従業員 給与・賃金・通常の手当てなどは通常通りに支払われる。売り上げが期待通りになると仮定した場合、年金制度とVEBAの資金は新生GMへ譲渡される。

  • 納入業者 GMは破産裁判所の審理初日に、納入業者へ通常通り支払いを続ける権限を求める。加えて、米国財務省の納入業者支援プログラムは継続し、すでにその支援をうけている納入業者はその支援を継続して受ける。

  • ディーラー GMは破産裁判所の審理初日に、顧客への保証義務を通常通り負う権限を求める。さらに、今後もGMの販売網に参加し続けるディーラーに対して、インセンティブの支払いを継続する権限を求める。GMとの取引をやめることをGMが確認したディーラーもある。取引をやめるディーラーには、今後18カ月間で、事業を整然と段階的に縮小するような合意を提示する予定である。

  • UAW UAWとGMとの間で合意された修正労働協定は、新生GMに引き継がれ、効力を有することになる。