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アジア歴訪を前にした、クリントン国務長官の電話による記者会見

2009年2月13日、ワシントン

オペレーター 皆さん、お待たせしています。現在、すべての回線は「聞き取りのみ」に設定されています。質疑応答までこのままの設定です。では、ロバート・ウッド報道官代行につなぎます。ウッド報道官代行、どうぞお話しください。

ウッド報道官代行 ありがとう。皆さん、ようこそ。クリントン長官もここにいます。最初に長官が短い発言をしてから、質疑応答に移ります。では、長官、お願いします。

クリントン長官 この電話会見に参加していただき、ありがとうございます。私は、今回のアジア歴訪をとても楽しみにしています。また、この旅が、私の国務長官としての初の外遊となることをうれしく思っています。米国が、今回の訪問国だけでなく、アジア太平洋地域のほかの国々とも、より広い範囲にわたり、より深い関係を築く意思を持っていることを示すことが重要だと思います。

 各国の未来は密接不可分であると思います。ご存知かもしれませんが、私は、ニューヨークのアジア・ソサエティーで講演しました。アジア・ソサエティーの方々は、米国人とアジア人に共通の未来への心構えをさせることが自分たちの任務のひとつであると考えています。この考えは、私が行いたいと思っている取り組み方をほぼ端的に言い表しています。また、2国間、地域、そして世界規模の協力を強化する機会や、経済危機に対処し、米国と各国との同盟関係を強化し、核兵器の拡散を防止し、気候変動、クリーンなエネルギー、世界的に流行する疾病による医療危機などの課題に対処する活動を拡大していくために継続している、徹底した関与や連携についても、確かにうまく言い表しています。

 では、質問をどうぞ。

ウッド報道官代行 分かりました。では質疑応答に移ります。最初の質問を受けましょう。

オペレーター ありがとうございます。では、質問がある方は「*」と「1」のボタンを押して質問の順番が来るのをお待ちください。繰り返します。質問する方は「*」と「1」を押してください。ありがとうございます。アンドレア・ミッチェルさん、質問をどうぞ。

 長官、ありがとうございました。質問の機会をありがとうございます。講演で北朝鮮のことに触れられましたが、長官が構築したいと示唆された関係を築くために北朝鮮政府が取るべき行動とは、具体的にどのようなものでしょうか。

 また、長官はニューヨークと同時多発テロ犠牲者のご遺族についてよくご存知と思いますので、とても悲しいお話について補足的にお尋ねするのですが、長官はビバリー・エッカートさんをご存知でしたか。彼女の死について何かコメントはありますか。

クリントン長官 アンドレア、まず、ビバリー・エッカートさんのことについてですが、彼女が墜落した飛行機に乗っていたと知って、私は悲しみに暮れました。クラレンス・センターで発生し、バッファロー地域全体だけでなく、ニューヨーク州西部にも多大な影響を及ぼした、あの悲劇的な墜落事故で愛するものを失ったご家族の皆さんに、心より哀悼の意を表します。

 ビバリーさんは、同時多発テロ被害者のご遺族のための活動を通じて、私のパートナー、そして友人となりました。彼女は、同時多発テロに関する独立調査委員会の設立に貢献しました。同時多発テロでご主人を失い、その悲しみと怒りを乗り越えて、この国でテロが再び起きないようにする活動に打ち込んでいた人が、このように早く亡くなってしまうことは大きな損失であり、とても痛ましいことです。ビバリーを知っている多くの人々、そして愛する人を亡くしたさらに多くの方たちに、心からお悔やみ申し上げます。

 北朝鮮に関して最初に言っておきたいことは、米国は、現時点で、北朝鮮が挑発的な行動や発言を慎むことを望んでいる、ということです。米国は6者協議で交渉を進めることを望んでおり、私は、交渉を正しい方向に戻すには何が最善の方策かを、韓国、日本、中国と議論するつもりです。私たちには議論を前進させる大きな機会があると思いますが、そのためにはこちらの意図をはっきりさせておかなければなりません。北朝鮮が、完全に、検証可能な形で核兵器開発計画を放棄する用意があるならば、オバマ政権は米朝2国間関係を正常化し、長期にわたる停戦協定に替えて恒久平和条約を締結し、他国と共に、北朝鮮国民が必要とするエネルギーおよび経済的支援を行う意思があることを、北朝鮮に知ってほしいと思っています。

 6者協議の合間、もしくは6者協議の場以外で、(北朝鮮と)直接2国間協議を行う意思はありますか。こうした協議はこれまでにも行われているので、前例をつくることにはならないと思いますが、これを続ける、あるいは拡大する意思はありますか。

クリントン長官 アンドレア、まず6者協議に参加する同盟国やパートナー国と協議して彼らの意見を聞き、この問題を前進させるためにはどうすることが最善の方策か、その考えを聞きたいと思います。

ウッド報道官代行 次の質問をどうぞ。

オペレーター ありがとうございます。マイク・ラバリーさん、どうぞ。

 長官は今、北朝鮮との関係を正常化し、エネルギー支援を行い、恒久平和条約を締結する意思があるとおっしゃいましたが、これはブッシュ政権の手法とどこが違うのでしょうか。ブッシュ政権が決めたことをただ続けるつもりですか、それとも何か違いがあるのでしょうか。

 2つ目の質問として、北朝鮮特使の任命について取りざたされていますが、長官のアジア歴訪前に任命は行われるのでしょうか。

クリントン長官 マイク、私が強調したいのは、米国は北朝鮮に関して同盟国やパートナー国と誠実に協議をしたいと思っている、ということです。その協議の結果ではない見解を述べるつもりはありませんが、6者協議という、私たちが非常に重要と考える議論の場に関してだけでなく、北朝鮮が自らの義務を履行する場合に北朝鮮にもたらされる機会についても、互恵主義を発揮してもらいたいと思っているという、非常に明確なメッセージを北朝鮮に送りたいと思います。

 北朝鮮への特使については、間もなく発表できる状況になると思います。けれどもやはり、発表する前に6者協議のパートナー国と話し合いたいと思っています。

ウッド報道官代行 次の質問をどうぞ。

オペレーター ありがとうございます。シャオミンさん、どうぞ。

 ありがとうございます。クリントン長官、講演を聞かせていただきました。とてもすばらしいお話だったと思います。私の質問ですが、ドル安と米国長期国債の報告書について懸念が広がっています。そこで、オバマ政権はどのようにして、中国が外貨準備高から米国に行った投資が安全であると中国に保証するつもりですか。

クリントン長官 まず申し上げますが、私たちは、この問題への取り組みが重要であると理解しています。そして、オバマ大統領と現政権が取ろうとしている措置は、米国経済を刺激して再び成長軌道に乗せることを目的としています。また、市場の規制が十分でなかったことや、過剰流動性を管理するために必要なリスク評価が不十分だったことなど、今回の危機の根本にある原因にも一部取り組んでいます。そして、米国の市場が、必要とされる程度まで確実に機能しているようにするために、私たちは非常に積極的に行動するつもりです。

 けれども、ほかの国々、特に中国も行動しなければならないことも明らかです。私は、中国の景気刺激策を評価します。私たちは、開放された公正な貿易制度をつくることを固く決意しています。ですから、今後やらなければならないことがたくさんあると思います。中国政府とは、協力するために、ほかに何を一緒にできるかを議論するつもりです。中国は4月上旬にロンドンで開催されるG20会合に参加します。中国との経済関係は、米国にとって不可欠であると考えていますから、意見を求め、相互に利益があると思われる形で取り組んでいくつもりです。

ウッド報道官代行 では、最後の質問をお願いします。

オペレーター ありがとうございます。淡路愛さん、質問をどうぞ。

 こんにちは、長官。

クリントン長官 はい。

 長官が講演でおっしゃいましたが…。すみません、私の質問は北朝鮮に関することです。

クリントン長官 どうぞ。

 講演の中で、長官は日本で拉致被害者家族と面会するとおっしゃいました。

クリントン長官 はい、そのとおりです。

 その面会を通して、拉致被害者家族と日本国民にどのようなメッセージを送るつもりですか。また、この問題の解決に当たり、米国政府はどのような手助けができるとお考えですか。

クリントン長官 ご家族の皆さんとは、個人的に、人間としてお会いしたいと思っています。国務長官としてよりは、妻、母、娘、姉妹として会うことになると思います。家族を奪われ、そんなにも長い間消息が知れないとは、想像を絶します。ご家族の窮状を決して忘れないことが重要です。私は拉致問題をとても重視しており、いかなる形であれ、この問題の解決に向け米国にできることがあれば、日本と協力していくことを強調したいと思います。そして、北朝鮮に対しては、速やかに日本の懸念に対処し、被害者家族にさらなる情報を提供できるよう拉致問題を再調査するという8月12日の合意を実行に移すよう、今後も強く求めていきます。ご家族にとっては当然のことです。

ウッド報道官代行 最後にもうひとつ質問を受ける時間があります。短くお願いします。

オペレーター ありがとうございます。小川聡さん、どうぞ。

 ありがとうございます。米国の対北朝鮮政策について伺います。1994年に締結された米朝枠組み合意をどのように評価しますか。この合意が十分に機能しなかったのはなぜだと思いますか。そこからどのような教訓を学ぶことができるでしょうか。ありがとうございます。

クリントン長官 私たちは過去ではなく、未来を見据えていくつもりです。枠組み合意は有益でしたし、プルトニウムの再処理を防ぐ機会になったと思います。プルトニウムの再処理は、ご存知のように、ある程度容易に兵器化可能な核物質を製造できるプロセスです。

 当時私は、ブッシュ政権が枠組み合意を完全に放棄したことは残念だと言いました。北朝鮮の高濃縮ウラン製造活動に関する情報には極めて真剣に対処すべきでしたが、枠組み合意に替えて、ではなく、枠組み合意に加えて、そうすることができたはずです。

 ですから、枠組み合意にも利点はあったと思います。しかし、今はもう21世紀です。今年は2009年です。北朝鮮側はさらに多くの活動をしてきました。私たちは今日の世界に対処しなければならないと思います。

ウッド報道官代行 以上です。皆さん、ありがとうございました。クリントン長官、ありがとうございました。

クリントン長官 皆さん、ありがとうございました。