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資料室

CISマイクロフィッシュ・ライブラリー

はじめに - 連邦議会の役割

米国の唯一の立法機関である連邦議会では、毎年膨大な数の法案を審議しています。連邦議会の特徴のひとつとして、本会議よりも委員会や小委員会が、立法活動の中心であることが挙げられます。議員から提出された法案は、上院もしくは下院の議長が、該当委員会に付託し審議を要請します。各委員会には政策スタッフが揃っており、その法案に対して詳細な分析や審議を行います。また、委員会は公聴会を開催し、審議事項について専門家から意見を聴取します。証人は陳述を行うだけでなく、証言内容に関連した資料を委員会に提出することもあります。

委員会は法案についての調査分析を終了すると、法案の修正を行います。法案が委員会で可決された場合は、委員会報告書が添付され、上院または下院の本会議に送付されます。本会議での審議、採決を経て上下両院本会議でそれぞれ承認された法案は、最終的に大統領に送付されます。大統領は、法案に賛成であれば、これに署名して法案が成立します。法案が提出され、大統領に送られるまでの過程は長く複雑です。膨大な数の法案が提出されるにもかかわらず、最終的に議会を通過するものは数パーセントに過ぎません。

委員会が作成した記録や委員会に提出された文書は、一部の例外を除きすべてが公開されます。この記録を集成した資料が、ProQuest社(旧Congressional Information Service)が提供するCISマイクロフィッシュ・ライブラリーです。CISマイクロフィッシュ・ライブラリーは、ひとつのパッケージで委員会の活動記録を網羅している画期的な製品です。また、米国の政策がどのように出来ていくのかを詳細に記録しているという点で貴重であり、さまざまな分野の研究者から高い評価を受けています。

CISマイクロフィッシュ・ライブラリー

CIS マイクロフィッシュ・ライブラリーには、公聴会記録、委員会配布資料、報告書、委員会文書のほか、上院での条約関連文書や公法と立法経過が含まれます。ここでは、最初の4つの資料について説明します。

公聴会記録 (Hearing)

連邦議会の委員会・小委員会で行われる公聴会は、議会活動の中で最も馴染みのあるもののひとつでしょう。映画”Quiz Show”や”Good Night, and Good Luck”などにも公聴会のシーンが登場しますし、ホワイトハウスを舞台にしたドラマ”The West Wing” でもお馴染みです。公聴会には、立法審議に関するものだけでなく、政府機関により法律が適正に執行されているかを監督・調査するためのものがあります。さらには、ウォーターゲートやイラン・コントラのような事件の調査を目的としたものや、国務長官や連邦最高裁判所主席判事などの大統領が指名する政府高官の承認に関するものもあります。公聴会の記録は、当該トピックのキープレーヤーと彼らの見解を明確に示す貴重な資料です。公聴会の証人は政府高官、研究者、企業のトップなどであり、議論されているトピックに関するエキスパートであるのが普通です。また、監督・調査を目的とした公聴会では、多くの場合当該問題の当事者が証言を行います。

CISマイクロフィッシュ・ライブラリーに含まれる公聴会の記録は、米国政府印刷局が印刷した公式版です。証人の書面および口頭による陳述、委員会メンバーと証人の間で行われた質疑応答の全文、証人や関係者によって提出された報告書などの資料が含まれます。ほとんどの公聴会の記録は、終了後3か月から1年以内に印刷されますが、ときにはそれ以上の時間を要する場合もあります。

委員会配布資料 (Committee Prints)

委員会が印刷して内部で配布したさまざまなワーキングペーパーです。委員会のスタッフによる研究調査、公式には提出されていない法案の草稿、特定の立法に関する説明資料、該当委員会に関連する法令集、外部コンサルタントの調査資料など、多種多様な資料を含みます。多くの場合、外部への配布を想定していないため、存在の確認や入手が難しい資料です。また、ほとんどの資料は継続的刊行を意図したものではありませんが、国別人権報告書(Country Reports on Human Rights Practices)のように、継続的に刊行されるタイトルもあります。

報告書 (House and Senate Reports)

委員会での審議内容や結論を上院または下院に報告・勧告する出版物です。多くの場合は当該法案の議会での通過を促すもので、法案についての詳細な分析と参考資料を含みます。これにより、法案の必要性に関する委員会の見解、法案の各条項ごとの詳細な分析、すでにある法律への影響、施行のためのコストなどを知ることができます。委員会はまた、監督・調査に関する公聴会での調査結果をまとめた報告書も作成します。その中には、当該問題に関する優れた状況分析がしばしば含まれます。また委員会は、新しい法律の制定や連邦政府機関の手続きや政策の見直しを、報告書で勧告する場合もあります。

委員会文書 (Documents)

委員会で発行されたさまざまな文書類です。新法案の提出を連邦議会に働きかける大統領のメッセージや、議会を通過した法律への署名を拒否する大統領のメッセージ、各省庁から連邦議会に提出された年次報告書や特別な報告書、委員会内の特別な調査結果や背景調査をまとめた文書などが含まれます。

ご利用について

米国大使館レファレンス資料室およびアメリカンセンター・レファレンス資料室は、リサーチ目的の方であればどなたでも無料でご利用いただけます。CIS マイクロフィッシュ・ライブラリーは、1974年から2012年までを所蔵しています(2012年9月現在)。米国大使館レファレンス資料室では、原則としてすべての委員会の記録を所蔵しています。札幌・大阪・福岡のアメリカンセンター・レファレンス資料室では、年によっては特定の委員会の記録のみを所蔵しています。各資料室ごとの所蔵状況につきましては、こちらをご覧ください。

お近くの資料室でお探しのマイクロフィッシュの所蔵がない場合でも、他の資料室から取り寄せることが可能です。

CIS索引と抄録およびマイクロフィッシュは、館内で自由にご覧いただけます。必要な箇所をお客様ご自身で確認して印刷することが可能です(印刷は1枚10円)。利用が初めての方でも、専門のスタッフが利用方法をご案内いたします。来館利用は予約制になりますので、お近くのレファレンス資料室までお気軽にお問い合わせください。

利用者の声

スタッフの有益なアドバイス

私は修士論文の資料収集にCISマイクロフィッシュを活用しました。冷戦期のUSIA(米国広報・文化交流庁)に関する公聴会資料を探していたのですが、この時代の資料は電子化されていないため、マイクロフィッシュが貴重な情報源となりました。利用した感想として、レファレンス資料室のスタッフのアドバイスが非常に有益でした。スタッフの方は、漠然としたテーマからでも関連するマイクロフィッシュを検索してくれるので、初心者でも十分利用出来ると思います。また私は数百枚もマイクロフィッシュを複写したので、必要なページをその場で複写出来る使い勝手の良さや複写料金の安さも非常に魅力的でした。アメリカ研究を行う方には是非ともお勧めしたいサービスです。(公務員/大学院生、東京都)

ウェブ上で入手できない資料の宝庫

仕事上アメリカの連邦政策等の詳細を調べることが多く、資料収集のために、米国領事館の資料室をしばしば利用しています。近年は、インターネットを通じて情報が収集しやすくなりましたが、1990年代半ば以前の資料には、まだ電子化されていないものも多く、過去の詳細な情報を調べる際の困難となっています。アメリカの政府資料は、日本の大学図書館には所蔵のないものも多く、国会図書館がマイクロフィッシュ等を所蔵している場合でも、遠方の居住者には利用しづらい部分が少なくありません。このような状況の中、日本では希少な資料を、領事館の資料室を通じて速やかに利用することができ、大変助かっています。先日も、ウェブ上で入手できない資料のマイクロフィッシュを取り寄せていただき、必要な情報を得ることができました。今後もぜひ活用させていただきたいと考えています。(大学教員、北海道)

熱気を伝える公聴会議事録

現在日本には、障害者差別禁止法を制定しようという動きがあります。この法律を世界で初めて制定したのがアメリカです(1990年)。そのときの議論を知るために、CISマイクロフィッシュの公聴会議事録を利用しました。議事録には障害者の発言があり、内容に反対する議員たちからの質問があり、さらにそれに反論する障害者の力強い発言がありました。そこからは当時の熱気が伝わってくるようでした。その中の言葉に励まされることもありました。興味深かったのは、障害者たちが公民権運動を連想させる言葉――『夢』や『キング牧師』など――を用いて法律の必要性を訴えていたことです。この資料を用いて、私は論文を書き上げました。素晴らしい資料との出会いに感謝しています。(大学院生、愛知県)

ご存じですか? - 公聴会で証言した著名人

Neil Armstrong (宇宙飛行士、アポロ11号に乗船) Warren Buffett (投資家)
Hillary Clinton (第67代国務長官) Walter Cronkite (ジャーナリスト、CBSキャスター)
Clint Eastwood (俳優・映画監督) John K. Galbraith (経済学者)
Bill Gates (マイクロソフト社共同創業者・会長) Martha Graham (舞踏家・振付家)
Jesse Jackson (牧師・市民権活動家) James Levine (指揮者・ピアニスト)
Wynton Marsalis (ジャズミュージシャン) Jack Nicklaus (プロゴルファー)
Julia Roberts (俳優) Kurt Vonnegut (作家)
Jimmy Wales (ウィキペディア創設者) James D. Watson (分子生物学者、DNAの二重らせん構造を発見)

ご存じですか? - 委員会配布資料の一例

  • Policy Lessons from Japan's Lost Decade, Research Report #110-30, Joint Economic Committee. December 2008.
  • Hurricane Katrina: A Nation Still Unprepared, Senate Committee on Homeland Security and Governmental Affairs. May 2006.
  • Background Analysis: An Overview of the Gender Earnings Gap, Joint Economic Committee. April 2006.
  • 9/11 Commission Report, Final Report, National Commission on Terrorist Attacks Upon the U.S. July 2004.
  • Annual Report on International Religious Freedom, 2000-present
  • Economic Indicators, 1948-present

[最終更新日:10/10/2012]