環境ニュース
NIEHSニュース | 殺虫剤と子供たち
動物研究により、妊娠期および出産後まもなくの汚染物質曝露は、身体機能・認知機能の発達のほかに、呼吸器の健康にも影響を与えることが判明した。全米に8箇所� る子供の健康センターの研究者たちは、NIEHSと米国環境庁の共同支援を受け、環境曝露がヒトの健康に与える影響を特定するために乳児期の研究を行っている。同記事(p. A664)は、これらのうち4つのセンターが取り組んでいる殺虫剤やその他の汚染物質の影響を評価・克服するための研究について記述している。
FOCUS | 性差によるEDCの影響
高薬量の内分泌かく乱化学物質(EDC)に曝露すると、健康に悪影響を及ぼす可能性が� ることは知られているが、低薬量曝露(特に胎児期)は悪影響が� るのだろうか。� るとすれば、それは何だろう。一部の専門家は決定的な証拠が提示されるまで中立的な立場を保っているが、EDCの低薬量曝露の影響に関する主流の意見は二派に分かれ、これらはお互いに相対している。同記事(p. A670)は、警戒の必要はないとする一派と、ヒトの性別、性差による発達と行動、生殖能力、性交率における異常の証拠を示す一派の間で交わされている議論を検証している。
SPHERES OF INFLUENCE | 欧州で薬剤手引書立案
薬剤は疾病の治療には有益で� るが、最終的には水路に流れ着いた際、環境やヒトの健康に有害となる可能性が� る。薬剤の化学成分の環境中への分散を制御する目的で、欧州医薬品審査庁(EMEA)は製薬会社が新しい薬剤の販売申請と同時に手続きが必要な環境リスク評価手順の手引書を立案した。同記事(p. A678) は、EMEA手引書を米国における類似の規定と比較しながら詳細に説明し、同手引書の恩恵と制約を検討している。
INNOVATIONS | 鉛・錫はんだの代替品
鉛・錫のはんだは、電子製品生産工場で確立・信頼されている必需品で� るが、環境危険物としても公知されている。2006年7月1日までに電子機器における鉛使用を全面的に禁止するという欧州の規制を受け研究者たちは、現行のものよりも危険度が低く、同等な信頼性を持つはんだ用の材料を探している。同記事(p. A682)は、電子機器を寿命中と寿命後の両方でユーザーフレンドリーな形で保つことが可能な鉛・錫合金の代替品に関する最新科学技術について記述している。
論評
リスクの特徴付け | 公共の健康判断におけるホルミシスの欠点
ホルミシス(低薬量刺激、多薬量阻害)は、毒性物質の高レベル曝露は人体に有害で� るが低量曝露は有益で� る、という考えを促進する目的でしばしば利用される。Thayerら(p. 1271) は、ホルミシス仮説、および低薬量の有益効果を健康に関する一般的な判断の基礎とすることによって考えられる悪影響を評価し、ホルミシスが一般的に適用されるという仮定は、複雑で多様な生物学的プロセスを� まりにも簡略的に捉えていると主張している。
研究
内分泌 | ERの影響を受けたPCBの活動
ポリ塩化ビフェニル(PCB)のエストロゲンシグナルへの影響は、全容が解明されてはいない。Plískováら(p. 1277) は、ER-CALUXバイオアッセイを使用して環境汚染度が高い地域の住人から収集した男性の血清サンプルから広く知られているPCBコンジナーと混合体を抽出し、そのエストロゲン/抗エストロゲン活性を特定した後その結果をスロバキア東部の近隣地域からの結果と比較した。低塩化PCBはエストロゲン様で、広く知られている高塩化PCBコンジナーと主要なPCB代謝物質は抗エストロゲン様の活動を示した。コプラナPCBは、エストロゲン受容体(ER)の活性化には直接影響していなかった。このデータにより、大量曝露を受けている被験者では、PCBによるステロイド・ホルモンのレベルへの直接の影響を調査することが重要で� る可能性が考えられる。
内分泌 | 喫煙のホルモンへの影響
タバコ煙は、ホルモンの活性に影響を与えると思われる化合物を含んでいる。Windhamら(p. 1285) は、喫煙の有無で選定し、月経周期をサブセットとして、尿中の下垂体濾胞刺激ホルモン(FSH)のレベルを測定したが、調査の焦点は周期と周期の間に� る移行期で� った。移行期ごろの尿中FSHの一日平均量は、中程度の喫煙によって30-35%以上増加した。タバコ煙は内分泌機能(卵巣レベルだと考えられる)に変化をもたらす可能性が� り、その結果、下垂体ホルモンの分泌に影響が生じる可能性が� る。この内分泌阻害は、月経の異常、不妊、早期の更年期などの生殖機能への悪影響と喫煙の関係を助長している可能性が高い。
発育 | 発育過程でのクロルピリホス曝露
発育過程でクロルピリホスの曝露を受けると、脳および周辺細胞内伝達に変化を及ぼす。Slotkinら(p. 1291) は、出産後1‐4日のラットに、全身毒性のしきい値以下で� る1mg/kg/dayのクロルピリホス(CPF)を投与した。生育後のテストでは、クロルピリホス曝露を受けたラットは血漿コレステロール値とトリグリセリド値が上昇したが、非エステル化遊離脂肪酸やグリセロールには変化がなかった。この結果は雄に限られていた。また結果(生育力や成長への影響を考慮せず、ヒトの胎児・新生児の曝露のパラメータの範囲内)からは、新生児ラットが亜毒性のクロルピリホス曝露を受けると、アテローム性動脈硬化症とタイプ2の糖尿病の主要リスク要因に類似する血漿脂肪とインシュリンのパターンを生み出すことが示された。
集団の健康 | 崩れるヒトの性別バランス
カナダのAamjiwnaang First Nation居住区のメンバーが、居住区内で最近、男児の出産数が減少しているように思われるという懸念を表明した。Mackenzieら(p. 1295) は、コミュニティベースの住人参加型調査プロジェクトの一環として、1984〜2003年の男児出生率を調査した。結果として、Aamjiwnaang First Nation居住区では1990年以前は安定した性のバランスを保っていたが、男児の出生率が1990年前半から2003年にかけて継続的に減少していることが判明した。現在Aamjiwnaang居住区では、健康状態についてより多くの情報を集め、男児出生率の低下の原因を調査するために、アンケート健康調査を実施中で� る。
Science Selections, p. A686も参照
内分泌 | ローチの下水処理水曝露のライフステージ別反応
英国河川の調査で、下水処理施設(WwTW)より下流に生息する野生のローチ(Rutilus rutilus)に性機能の障害が判明した。Lineyら(p. 1299) は、生殖細胞分裂期(幼少期と産卵直後)に曝露を受けたローチに見られた2つのエストロゲン様WwTWに対する雌性反応について調査した。生殖管の雌性化(濃度依存性)が幼少期に曝露を受けた雄には見られたが、生育後に曝露を受けた雄には見られなかった。
Science Selections, p. A686も参照
曝露の評価 | イヌイット族、遠方から運ばれた毒性金属に曝露
北極に住むイヌイット族は鉛、カドミウム、水銀の曝露を受けることが多い。その理由は、工業地域や都市で大気中に放出された金属が気流に乗って遠く離れた地域へ運ばれ、その地域での食物にでてくるからだ。金属を収集し、沈殿させる家庭用の空気処理システムは、食料摂取や呼吸での吸入に従来にはなかった的確な変化をもたらしている。HermansonとBrozowski (p. 1308)は、Pb、Cd、Hgの経年曝露を特定するために北極の下水処理湖から堆積物を収集した。1990年のPbの1人1日平均量は、許容1日摂取量(TDI)を越えていた。CdとHgの摂取量はそれぞれのTDIを下回っていた。
遺伝子多型 | ALAD多型と鉛毒性の感受性
Chiaら(p. 1313) は、鉛曝露を受けたベトナムの労働者を対象とした横断調査で、δ-アミノレブリン酸デヒドラターゼ(ALAD)一塩基多型(SNP)が血中鉛と腎臓パラメータの関係に変化をもたらすか否かを断定するために、SNP中の6つの多型を調べた。著者らは、PbB x SNPの反応に共分散分析を適用して、腎臓パラメータとPbBの関連に対するSNPの変化している影響を調査した。HpyCH4 SNPは腎臓に対する鉛毒性に変化をもたらすように見受けられるが、自然発生型のアレルが変異体よりも感受性が高かった。
毒物学 | 魚食人口のバイオマーカー
セントローレンス川付近の一地域に住む住人らから、多量のポリ塩化ビフェニル(PCB)とダイオキシン様化合物(DLC)が検出された。Ayotteら(p. 1318) は、この地域住人のうちボランティア成人を被験者として、肝臓の酵素誘導バイオマーカーと、体内の有機塩素との関係を測定した。DLC濃度も、PCB-153濃度(PCB総量)も、影響を示すバイオマーカーとの相関関係は無かった。これらの住人では体内のPCB、DLC共に高値で� ったが、肝臓酵素誘導のバイオマーカーとの有意な相関関係を持っていたのは喫煙のみで� った。データは、ヘム代謝を変え、mono-ortho PCBコンジナーの生体内変化を高める喫煙誘導性の肝臓CYP1A2活性と一致している。
集団の健康 | 魚の消費と政府勧告
6,100万人を超える成人が、五大湖に接する米国8州に住んでいる。Immら(p. 1325) は、これらの人々を対象として、店頭で購入した魚や趣味の釣りで捕らえた魚の消費レベル、また魚消費に関する州政府の勧告の認識レベルについて調査した。その結果、五大湖の魚が保有する長期持続性の汚染物質への曝露は、熱心な釣りファンが捕らえた魚を食する比較的少数の人たちに限られている可能性が高いことが判明した。またこの調査結果は、およそ290万人の五大湖周辺の成人住人が、メチル水銀、ポリ塩化ビフェニルほかの生体内蓄積型の汚染物質の基準安全量を超えている危険性を示しており、魚に関する州の勧告の重要性も再確認するもので� った。
心血管 | 砒素誘発による血管収縮の悪化
慢性的な砒素曝露は、高血圧などの心血管疾病を引き起こす。Leeら(p. 1330) は、砒素が隔離した器官槽中で大動脈環の収縮に影響を与えるか否かを調査した。三価無機種の砒素を投与したところ、フェニレフリンまたはセロトニンの誘発により濃度に依存する形で血管収縮が進行した。砒素による過度収縮は、フェニレフリン誘発によるミオシン軽鎖(MLC)リン酸化のレベルと相関関係に� った。調査結果からはさらに、砒素が平滑筋でMLCリン酸化の介在による作用物質誘発性の血管収縮を進行させること、また、カルシウム過敏化が欠陥中での砒素の誘発による過度収縮の主要なメカニズムの一つで� ることが示唆される。
曝露の評価 | 低所得の少数民族にperc増加
アパート建物内で操業するドライクリーニング店からのテトラクロロエチレン(PCE、perc)の曝露は、住居部分の屋内の空気を汚染する可能性が� る。McDermottら(p. 1336) は2001年-2003年にニューヨーク市内で、自店舗内でpercを使用するドライクリーニング店が入っている24の建物に� る65のアパートで、屋内空気のpercレベルを調査した。これらのアパートの平均percレベルは、1997年以前に記録されたアパートの平均レベルとの比較で10分の1で� った。この良い結果にも関わらず、17の標本抽出されたアパートのpercレベルはいまだニューヨーク州保健省の居住環境空気ガイドラインを越えるもので� った。少数民族居住区の屋内空気平均percレベルは、非少数民族居住区の4倍で� った。
曝露の評価 | ココアとチョコレート内の鉛源
Rankinら(p. 1344) は、ナイジェリアの6つのカカオ農場で収集したカカオ豆、殻、土の分析、および製造後のココアとチョコレート製品の分析から鉛の濃度と同位元素の構成について記述している。カカオ豆の平均鉛濃度は ≤0.5 ng/gで� り、自然食品ではもっとも低い部類に属する。製造後のココアとチョコレート製品の鉛濃度はそれぞれ230 ng/g、70 ng/gと高く、チョコレート製品を鉛濃度が最高の部類に入れている調査結果と一致している。汚染の大部分は、カカオ豆の出荷と加工、およびココアとチョコレート製品の製造過程で起こる。
Science Selections, p. A687も参照
心血管 | 二次喫煙の影響による心臓アポトーシス
環境タバコ煙(ETS)が非喫煙者の心臓病と関連していることは公知で� るが、その病因の分子メカニズムは不明で� る。Kuoら(p. 1349) は、1ヶ月の間、日に2回、1回30分間、様々な用量のETSに曝露すると、心臓重量の体重比が用量依存的に減少し、間質繊維症を進行させることを明らかにした。さらに遺伝子発現解析を行った結果、心臓筋細胞に対するETSの影響はFas death受容体依存性のアポトーシス・パスウェイによって仲介され、ETS曝露を受けた非喫煙者の心臓病の発症に関連している可能性が� ることが判明した。
トキシコゲノミクス | ラット甲状腺毒性の遺伝子発現プロフィール
有機ヨウ化物は、ラットの甲状腺肥大を誘発し、コロイドの変化を促進する。Glattら(p. 1354) は、甲状腺毒性に対する遊離ヨウ化物(ヨウ化ナトリウム)の影響を、フェノバルビタール(PB)およびプロピルチオウラシル(PTU)との比較で評価した。Affymetrix U34A GeneChip、通常のt-テスト、Gene Map AnnotatorおよびPathway Profilerを使用した甲状腺遺伝子発現解析では、すべての化学物質に対してロドプシン様Gタンパク質共役型受容体転写に有意な変化が見られた。NaIは、複数の酸化性ストレス関連遺伝子で用量依存性の変化を示した。PBとPTUに曝露したラットでは濾胞細胞腫瘍発現に関連している可能性の� る異なった転写プロファイルが見られ、これにはWntシグナリングとリボソーム・タンパク質発現関連遺伝子を含んでいた。
胎児の発育 | 先天性異常の危険とごみ埋立地
ウェールズのごみ埋立地周辺に住むと先天性異常児出生の危険が� るということが、これまで心配されてきた。Palmerら(p. 1362) は、ウェールズに� る24ヶ所のごみ埋立地周辺の住人を対象として、ごみ埋立地の操業開始前と比較して、操業開始後では先天性異常児の出生率が増加したか否かを調査した。先天性異常児の出生予測率は、ごみ埋立地の操業開始前が0.87、操業開始後が1.21で、標準化リスク率は1.39となる。状況確認が不十分で� り、個々の曝露データ、その他の社会経済的要因やライフスタイル要因に関するデータも不十分で、該当地域居住との関係の解明が困難で� るため、現段階での推論や結論付けは困難で� る。
環境医学 リスクの特徴付け | ベリリウム曝露反応研究
Rosenmanら(p. 1366) は、ベリリウム加工工場の元作業者を対象にベリリウム症の検査を行った。慢性ベリリウム症(CBD)と診断された被験者と、慢性ベリリウム症の疑いが� る被験者は合わせて7.6%で、その他7.0%がベリリウム敏感症で� った。このグループにおけるCBDのレベルと敏感度は、他のベリリウム曝露グループの研究報告より高かった。CBDや敏感が発症した元作業者の平均1日労働生涯曝露量は、現行の労働安全衛生管理局の許容職場空気レベル(2 µg/m3)とエネルギー省のガイドライン(0.2 µg/m3)を下回っていた。
感染症 | 再発性の職業水痘
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)感染症に通常見られる症状には、水痘(初回)、帯状疱疹(再発または潜在)、水痘に対する生涯免疫などが� る。Kuら(p. 1373) は、台湾の台北で総合病院の神経外科に勤務していた看護婦の症例を報告している。この看護婦は、2002年に帯状疱疹を持つ不全対麻痺の入院患者を介護したところ、再発性の水痘を発症した。最近の検査で、ネガティブ特異性血清IgMとポジティブ特異性血清IgGによって、VZV感染が終了していることが判明した。職業VZVリスクはヘルスケア環境に付きもので� るため、感受性の高いヘルスケア・ワーカーを対象としたVZV抗体テストとワクチン接種プログラムが提唱されている。
子供の健康 胎児の発育 | 魚、水銀、幼児の認知力
魚類などのシーフードは有機水銀を含んでいる可能性が� るが、n-3多価不飽和脂肪酸などの有益な栄養分も含んでいる。Okenら(p. 1376) は、妊娠期間中の魚の摂取量および出産時における母親の頭髪の水銀量と、その子供の認知力との関連を調査した。認知力のテストは、生後6ヶ月のときにvisual recognition memory (VRM)のnovelty preference率を使用した。魚の高摂取量は、子供の高認知力に関連していた。しかし、スコアが低くなるに連れて、水銀量が1 ppm増加した。すなわち、妊婦は魚を食べ続けるべきだが、水銀量の少ない種類を選ぶとよいと言える。
Science Selections, p. A688も参照
曝露の評価 | 授乳期のメチル水銀と無機水銀
メチル水銀(MeHg)と水銀蒸気は胎盤の壁を越えることが知られているが、母乳を通じた乳児の曝露については� まり知られていない。Björnbergら(p. 1381) は、産後13週間、母親と乳児の血液中のMeHgと無機水銀(I-Hg)、および母乳中の総水銀(T-Hg)を測定した。出産時には子供の血中MeHgは母親の血中MeHgと関連していたが、出生13週間後までに減少した。子供の血中I-Hgも、出産時には母親の血中I-Hgと関連していたが、出生13週間後までに減少した。両タイプの水銀とも曝露は出産前のほうが多いが、出生後の母乳を通じた乳児の曝露はMeHgのほうがI-Hgよりも多いようで� る。
酸化ストレス | DNA酸化ストレスと金属曝露の関連
砒素、クロミウム、ニッケルの曝露による子供の人体への影響は� いまいで� る。Wongら(p. 1386) は、子供の体内におけるAs、Cr、NiとDNA酸化ストレスとの間の関連を調べるために横断調査を行った。平均尿中8-hydroxy-2´-deoxyguanosine (8-OHdG)レベルは、11.7 ng/mgクレアチニンだった。尿中Niと8-OHdGの間に関係は無かった。尿中CrやAsが高い子供たちは、尿中CrやAsが低い子供たちよりも尿中8-OHdGが多かった。8-OHdGレベルが最も高かったのは、尿中CrとAsが両方高い子供たちで� った。
免疫 | 空気汚染と臍帯リンパ球の表現型
Hertz-Picciottoら(p. 1391) はチェコ共和国で、空気汚染曝露と出生時の臍帯中のリンパ球免疫表現型との短期での関係を調査した。24時間サンプルで直径が2.5 µm未満の微粒子(PM2.5)と多環式芳香族炭化水素(PAH)を測定した。また、CD3+ T型リンパ球と、そのサブセットで� るCD4+、CD8+、CD19+B型リンパ球、およびナチュラルキラー細胞の表現型を特定するために、臍帯血液のサンプルを分析した。出生前14日間の平均PAHやPM2.5は、T型リンパ球の表現型分画の減少とB型リンパ球分画の明白な増加と関連していた。環境中空気汚染が、胎児のリンパ球免疫表現型の相対的分布に影響を与える可能性が� る。
曝露の評価 | 屋内フタル酸源とその濃度要因
最近の研究で、喘息の症状と、子供たちの寝室から採取した埃中のフタル酸n-ブチルベンジル(BBzP)およびフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)の濃度の関連が報告された。Bornehagら(p. 1399) は、家庭における埃の特徴の中でも、これらのフタル酸エステルの関連を調査した。BBzP、DEHPそれぞれの濃度と、住居の床と壁の材料として使われているポリ塩化ビニルの量の間に関連が� った。これらの関係は、フタル酸濃度が高い住居の特定と、緩和手段の開発に役立ちそうで� る。
呼吸器の疾病 | 菌類のレベルとアレルギー性鼻炎
Alternariaなどの菌類への感作症は、子供たちの場合、アレルギー性鼻炎や喘息と関連している。Starkら(p. 1405) は、5歳までの間に医師にアレルギー性鼻炎だと診断された親を持つ子供たちのグループにおいて、出生後3ヶ月未満の測定で住居内菌類の濃度が高い(> 90%)と判断された家庭を調査した。アレルギー性鼻炎の予測変数には、埃中のAspergilluss、Aureobasidium、およびイーストの量が多いということが含まれる。家庭内での菌類濃度が高い場合、水害の被害報告、カビ、白カビは子供たちも家族性喘息やアレルギー性鼻炎に罹患しやすくなる可能性が� る。
免疫 | 母親の喫煙と母乳のインターロイキン-1
Zanardoら(p. 1410) は、喫煙者と非喫煙者の母親を対象として、初乳と移行乳の中のインターロイキン-(IL)1α、および免疫調節作用を持つβ-エンドルフィンとレプチンの濃度を比較した。 IL-1αの濃度は喫煙者の母親の初乳では有意に低かった。初乳のβ-エンドルフィンとレプチンの濃度は大体同じで� った。移行乳のIL-1α、β-エンドルフィンとレプチンの濃度は、喫煙者と非喫煙者の母親の間では有意な差は見られなかった。さらに、喫煙者と非喫煙者の母親の両方で、移行乳サンプル中のβ-エンドルフィンとレプチンの濃度は、初乳と比較して有意に低かった。IL-1α増加のレベルが変化したことを見ると、喫煙者の母親によって母乳を与えられている新生児はいかに感染の危険性から守られていないかが理解できる。
小論文
子供の健康 | NIEHS/EPA子供センターの研究
この小論文(p. 1414) は、National Children's Studyに関連する分野に焦点を当てて、米環境健康科学研究所と米国環境保護庁による子供の環境衛生および疾病予防研究結果を紹介している。この中には、縦断集団研究と地域社会ベースの住民参加型調査の実行と、空気汚染曝露、殺虫剤曝露、喘息、神経行動毒性の測定を目的とした全般的な方法論の課題も含まれている。この研究結果によって、都会と農村部での特有に曝露した様々な人種が入り混じっている子供の集団の研究に関する情報が提供され、National Children's Studyでは計画作成の際に利用できる手法と利用できない手法を見分ける手立てが与えられたことになる。