環境ニュース
NIEHSニュース | 成長の機会
子供の肥満の流行は、我々の子供達の健康をさらに脅かし続けている。この脅威の広まりを抑えるために、関係者は協力してアイデアとリソースを収集している。今月の2つの記事のうち1つ(p. A520)は、地方、州、連邦によるプログラムで使用され、6月のEnvironmental Solutions to Obesity in America's Youth(米国青少年肥満に関する環境解決)会議でも主要議題で� った効果的な戦略について記述している。もう1つの記事は、内分泌かく乱の研究は1つの独立した分野として扱われているが、サンディエゴで開催された第87回年次内分泌学会で内分泌かく乱研究を取り扱ったワークショップにおいて発表された研究でもこれが証明されたことを伝えている。
FOCUS | バイオ(テク)フィードバック
1990年代に初めて導入された遺伝子組み換え(GM)食品は、害虫や除草剤への抵抗力が強いために高い収穫量を得ることができ、やせた土壌や厳しい条件下でも栄養価の高い食物の提供を約束するために、当時は素晴しいアイデアだと思われた。しかし、最初の歓迎の後に待っていたのは、大衆による科学への不信と疑惑で� った。同記事(p. A526)は、この反発に寄与しているいくつかの懸念を検証し、GM食品がより良く受け入れられるようにするための今後の対応策について考察している。
SPHERES OF INFLUENCE | 地球温暖化によるアフリカの被害
地球が温暖化するにつれ、洪水と干魃の増加が問題となっている。裕福な国々は頻繁に対応策を施し、気候の変化の悪影響に耐えるだけの資源や資金を有しているが、発展途上国はそれほど恵まれてはいない。アフリカは、気候の変化によって最も大きな悪影響を受ける地域で� る。同記事(p. A534)は、世界の中でも地球温暖化の原因産出では最小で� るアフリカ大陸にその影響が及ぶ様子を記述し、その重荷を軽くする方法について検証している。
INNOVATIONS | 大豆製接着剤にムラサキイガイを添加
ホルムアルデヒドは木材製品産業で使用される主要な接着剤材料で� るが、健康への影響を心配する人々に懸念を投げかけている。以前安全な大豆をベースとした木材接着剤が使用されたことも� ったが、ホルムアルデヒドをベースとした接着剤と比較するとコスト効果が低く、便利さにも欠けていた。同記事(p. A538)は、ムラサキイガイが岩に吸着する際に使用する接着物質に類似させて加工したたんぱく質を使用した大豆ベースの接着剤を使用した新しい試みについて記述している。
論評
喘息 | 喘息と気候の変化
世界的な喘息の発生件数の増加と同時期に、大気中の二酸化炭素も増加し、地球表面の平均気温も上昇した。BeggsとBambrick (p. 915)は、人為的な気候の変化が喘息数の増加の原因で� るという仮説を立てている。CO2濃度の増加と気温が高まると、花粉の量が増え、花粉の季節が長期化する可能性が� る。従って、これらの気候の変化の結果、花粉症の発生件数も増加の可能性が� る。幼少期にアレルギー源の多い環境に曝露すると、湿疹やアレルギー性鼻炎といったその他のアトピー症状の発症を引き起こすことが考えられる。
がん | 乳がん、環境、予防措置
予防措置の主目標は阻止で� るが、科学的不確実性が残ると思われるときには、健康への影響の「確固たる証拠」評価で頼りにできる改善された調査プロセスが必要となる。Brodyら(p. 920)は、乳がんの研究が、環境プログラムおよび観察や経年曝露査定に使用する地理情報システムに貢献してきた方法を説明している。しかし、これらの方法では、大規模な疫学研究のタイミング、ネガティブな結果がいつ満たされるのか、� いまいなポジティブな結果をこれからの研究と方針でどのように追求するか、など答えのない疑問も残る。
リスク査定 | ビスフェノールのリスク査定
19件の調査に基づき、Harvard Center for Risk Analysis(ハーバード・リスク分析センター)は、ビスフェノールA(BPA)の低用量の効果は弱いもので� ると結論付けた。しかし、vom SaalとHughes (p. 926)は、BPAの新しいリスク査定が、a)現在の許容基準量より低量における動物への悪影響を報告する新しい研究論文、b)食物容器から浸出するBPAの割合の高さ、c)ヒトの細胞中の平均BPA濃度はマウスに悪影響を及ぼすレベルよりも高いという報告、d)BPAを女性の疾病と関連付ける疫学的証拠、という諸理由により必要で� ると提唱している。
レビュー
呼吸器の疾病 | 心血管の健康とPM
心血管疾患による入院患者と死亡率は、外気汚染、特に直径が2.5 µm以内と10 µm以内の微粒子(PM)(それぞれPM2.5とPM10)の質量濃度と関連している。Delfinoら(p. 934)は、心臓虚血と不整脈、高血圧、低心拍変動、血液循環における炎症と血栓症のマーカー増加の危険性とPMを関連付けている可能性を持つ要因について考察している。超微粒子(UFP)への大量曝露は、活性酸素種に対する酸化ストレス反応を通じて全身性炎症を引き起こす可能性が� り、それにより高血圧から心筋梗塞にいたる急性心血管疾病や粥状硬化症を助長することが� る。
曝露の評価 | 大気中UFPの曝露評価
超微粒子(UFP)曝露査定の諸問題は複雑で、UFPの健康への影響に関する疫学的調査を行う前にこれらを考慮する必要が� る。これらの問題は、空間の高多様性、屋内の微粒子源、屋外の多様な微粒子源からのUFP侵入、季節によってUFPの濃度、構成、揮発性を大きく変化させる気象学的要因などが含まれる。これらの問題の対処には、研究者は多様な環境におけるUFPの物理的・化学的特徴の特定に必要な分析の技術を開発・実用化する必要が� る。Sioutasら(p. 947)は、UFPの主要な特徴、その源と形成のメカニズム、大衆の曝露を査定する方法論的なアプローチに関する詳細な論考を記述している。
研究
呼吸器の疾病 | 粒子から細胞へのPAHの移動
1,3-ブタジエンの燃焼により生成されるブタジエン煤煙(BDS)は、多核芳香族炭化水素 (PAH)を豊富に含んでいる。Pennら(p. 956)は、粒子サイズの分布、組成、PAHの構成、要素の内容物、呼吸器上皮細胞との反応という面で、BDSを特徴付けた。ヒト気管支上皮細胞株の細胞は、その上に施した媒質にBDSを添加すると、蛍光反応を示す。BDSの超微粒子は細胞膜まで移動するが、細胞内へは進入しない。蛍光性PAHは細胞質ゾルの膜組織へと進入し、脂質嚢で蓄積される。これは、毒性物質が細胞に進入するには微粒子の取り込みは必要ないことを示している。
呼吸器の疾病 | 石炭の毒性のマッピングと予測
Huangら(p. 964)は、7箇所の石炭採掘地域における石炭作業者の間の塵肺症(CWP)の流行は、これらの地域で産出された石炭の中の生物学的利用能を持つ鉄(BAI)レベルに正比例することを示している。これら7箇所のの石炭採掘地域におけるCWP発生の直線回帰およびBAIの計算を使用して、7,000の石炭サンプル中の塵肺症患者の潜在力を導き出し、マッピングした。結果から、大規模採掘の前でさえも、石炭中のBAIレベルは石炭毒性の予測に使用可能で� ると判明した。
信号の変換 | Xenoestrogenによるグルカゴンの制御
膵臓のα細胞から分泌されるグルカゴンは、肝臓でのブドウ糖の合成と流動化を促進することにより、ブドウ糖の代謝を制御する。Alonso-Magdalenaら(p. 969)は、内分泌かく乱物質で� るビスフェノールA(BPA)とジエチルスチルベストロール(DES)(両方とも10−9M)が、α細胞における低ブドウ糖誘発性の細胞間カルシウム・イオンの振動(グルカゴンの分泌を引き起こす信号)を低減した様子を示している。比較研究によると、17β-エストロジオール(E2)、BPA、およびDESは、共通の膜組織結合箇所を共有していることが分かる。膵臓のα細胞におけるE2、BPA、DESの活動によって、内分泌かく乱物質が持つブドウ糖と脂質の代謝への影響の一部が説明できるかも知れない。
Science Selections, p. A544も参照
心血管疾病 | 空気汚染とMI入院
1箇所に特定した環境中微粒子による心筋梗塞(MI)リスクへの影響を査定する研究は複数行われたが、その結果は大きく異っている。ZanobettiとSchwartz (p. 978)は、米国21都市に住む30万人を超える高齢者を対象として、空気力学的直径で10 µm未満(PM10)の微粒子と関連した入院のケースを検討するために、複数都市にわたる複合研究手法を使用した。全体として、環境中のPM10濃度が10 µg/m3増加するごとに入院の危険性が0.65%高まることを明らかにした。MIの入院とPM10の曝露・反応関係はほぼ線形で� るが、PM10が50 µg/m3のレベルで勾配が急になっている。
DNA修復| ケラチン生成細胞の亜砒塩酸とUVRへの反応
亜砒塩酸は、へアレスマウスの皮膚モデルで太陽光をシミュレートした紫外線放射によって引き起こされるがんの発生率を高める。Wuら(p. 983)は、マウスのケラチン生成細胞株291.03Cでの太陽光シミュレーションUVRの後で、砒素がDNAの光損傷の修復やアポトーシスに影響する様子を調査した。砒素は5.0 µMでは6〜4の光化学反応生成物質の修復率を低減したが、2.5 µMでは何の影響もなかった。24時間後にUVRが誘発したアポトーシスは、2.5 µMと5.0 µMの砒素では減少した。これらの結果がin vivoで適用できるとすると、UVR誘発性のアポトーシスの抑制は、砒素によってUVR誘発性の皮膚がん発生が促進される原因となっているかも知れない。
曝露の査定 | NO2とPM:散布モデル対推計学的モデル
Cyrysら(p. 987)は、二酸化窒素とPM2.5(空気力学的直径で2.5µm未満の微粒子)の測定レベルを、確率モデルと分散モデル(40箇所の測定場所)で推定したレベルと比較し、すべての調査地域(1,669)について両方のアプローチを比較した。確率的モデルで得られたNO2とPM2.5濃度は測定濃度と同じ範囲に入っていたが、分散モデルで推定したNO2と合計空中微粒子のレベルは測定値よりも高かった。しかし、確率モデルと分散モデルで得られた濃度の相関関係は、どちらの汚染物質についても強かった。調査集団の交通に関連した空気汚染物質曝露の推定に関しては、両方のモデルで類似の結果が得られた。
がん | 農薬と乳がんの発症
Reynoldsら(p. 993)は、カリフォルニアの乳がん率が最近農薬を多く使用した地域で高いかどうかを評価した。比率と信頼係数95%での区画推定を、年齢、人種、近隣社会の社会経済的状況、都市化を調整し、ポアソン回帰モデルを用いて計算した。回帰分析は、176,302件の侵襲性乳がんのケースを含み、その被験者年齢は70,968,598歳で� った。結果から、最近多くの農薬使用を経験した地域に住むカリフォルニア州在住の女性が高い乳がん率を持つという証拠は得られなかった。
リスク査定 | 過塩素酸塩の基準計算
先ごろ全米科学アカデミーは、成人に甲状腺機能低下をもたらすのには、数ヶ月以上の期間にわたる0.40 mg/kg以上の量の過塩素酸塩が必要で� ると報告した。CrumpとGibbs (p. 1001)は、過塩素酸塩を長期曝露している2つの職業集団とボランティア被験者の臨床研究から、甲状腺刺激ホルモン(TSH)からの過塩素酸塩と、遊離チロキシン(T4)血清指標の基準量を計算した。2つの職業研究を組み合わせた分析から推定された基準量の統計学的95%以下信頼度は、遊離T4指標については0.21〜0.56 mg/kg-dayで、TSHについては0.36〜0.92 mg/kg-dayで� った。
呼吸器の疾病 | 微粒子とアンギオテンシン
微粒子(PM)曝露は、急性心血管疾病の死亡率と罹病率と関連している。Liら(p. 1009)は、PMが炎症と血管機能を制御するGたんぱく質結合受容体で� るアンギオテンシンタイプ1受容体(AT1R)を活性化する可能性が� るという仮説を立てた。著者らは、ラットの肺動脈環の緊縮と、ヒトの肺動脈内皮細胞中においてExtracellular signal-regulated kinase1と2およびp38 mitogen-activated protein kinaseの活性化に対する都市型微粒子(Standard Reference Material 1648:標準物質1648)の急性効果について調査した。結果を見ると、局部的なレニン-アンギオテンシン系の活性化がPM誘発性の心臓血管の影響に大きな役割を担っている可能性が示されている。
神経発達 | チメロサールと血液と脳中の水銀
いくつかの研究においては、乳幼児がメチル水銀曝露のガイドライン量以上のエチル水銀(ワクチンに使用されるチメロサールの形で)に曝露している可能性が指摘されている。Burbacherら(p. 1015)は、チメロサール曝露を受けた幼児期のサルとMeHg曝露を受けた幼児期のサルを対象に、水銀総量と無機水銀の全身への分布と脳の分配を比較した。チメロサール曝露後の血中Hgの最初と最後の半減期は、MeHg曝露後のHgの消失半減期より短かった。Hg総量の脳中の濃度は、チメロサール曝露を受けたサルの方がMeHg曝露を受けたのサルより低く、チメロサール曝露を受けたサルの脳中のHg総量の割合が高かったのは無機Hgで� った。結果から、MeHgはチメロサールから派生したHgの曝露によるリスク評価に適していないと判明した。
Science Selections, p. A543も参照
がん | 成長期におけるOH-PCの発がん効果
Martinezら(p. 1022)は、2’,4’,6’-trichloro-4-biphenylol (OH-PCB-30)および2’,3’,4’,5’-tetrachloro-4-biphenylol (OH-PCB-61)同族体の発情原性と発がん性の間の関係を調査した。混合した水酸化PCB(OH-PCBs)の効果がOH-PCB単独の効果と異なるか否かを見極めるために、OH-PCBsを個々に、また混合でテストした。その結果、生殖系の発達期間に曝露したマウスでテストした個々のOH-PCBは発情性および発がん性で� ることが判明した。またデータは、混合の場合は個々にテストした場合と違った反応、予期せぬ反応が示されるという仮説を立証するもので� った。
神経発達 | 発育過程でのクロルピリホス曝露
Aldridgeら(p. 1027)は、妊娠17〜20日、出産後(PN)1〜4日目、� るいはPN11〜14日に、発育期のラットを全身中毒限界値を超えない量のクロルピリホス(CPF)に曝露させ、思春期(PN60)に、主要な5HTとドーパミン突起を含む脳の部分に� る基本的な神経伝達物質の内容とシナプシス活動(代謝)を評価した。結果から、重要な発育期では、無毒量のCPF曝露が5HT関連の行動異常と関連して5HT系の永続的な活性を引き起こすことが判明した。
呼吸器の疾病 | PMの季節特有の影響
微粒子(PM)と関連している健康への影響には、構成要素の違いに関連している可能性を持つ季節間の違いが見られる。Beckerら(p. 1032)は、ヒトの正常な気管支上皮細胞と肺胞マクロファージを、同質量の季節特有の環境中粒子[PM直径2.5〜10 µm(PM2.5-10)]、微粒子(PM2.5)、超微粒子(PM0.1)に曝露させた。構成要素を、インターロイキン(IL)-8、IL-6および反応性酸素種の生成過程の変化とともに測定した。結果から、PMの構成要素が、肺の炎症と関係するPM誘因性の健康への悪影響における季節別変化の原因の一部で� る可能性が判明した。
胎児の発育 | 環境汚染物質と妊娠期間中の甲状腺ホルモン
ポリ塩化ビフェニル(PCB)、塩化農薬、水銀は、動物とヒトの内分泌系を阻害する可能性が� る。Takserら(p. 1039)は、有機塩素系殺虫剤(OC)とHgの血中濃度の関係について、妊娠期間中の臍帯中血液の甲状腺ホルモンを調査した。甲状腺の状態を他と何も変えずに、母体のトリヨードチロニンの総量と3つの非コプラナ同族体、3つの殺虫剤、無機Hgそれぞれの間に、有意な反比例の関係が見られた。臍帯血清の遊離チロキシンは無機Hgと反比例の関係に� った。結果からは、妊娠期における少量で長期の環境汚染物質曝露が、甲状腺の状態に変化をきたす可能性が示唆される。
Science Selections, p. A542も参照
トキシコゲノミクス | マラチオン曝露後の遺伝子発現
マラチオンは、害虫駆除に広く使用されている機知の内分泌かく乱物質で� る。Gwinnら(p. 1046)は、マラチオンの影響をみるために、4つのヒトの乳腺上皮細胞株の遺伝子発現プロフィールを調査した。クラスタリングでは、2つのアルド-ケト還元酵素(AKR1C1とAKR1C2)およびエストロゲン反応性遺伝子(EBBP)が見つかり、処置後4つの細胞株全てにおいて発現が増加した。時期は様々で� ったが、分析した細胞株全てにおいて6つのRNA種で発現の減少が見られた。これらの遺伝子における発現の変化は、マラチオン毒性の個々間の多様性を識別するバイオマーカーとしての利用可能性が� る。
環境医療
心血管疾病 | 空気汚染と血圧
空気汚染曝露は動脈の収縮を引き起こし、自律神経系のバランスを変える。Urchら(p. 1052)は、正常血圧の成人を被験者として、2時間の濃縮環境微粒子(2.5 µm未満の微粒子、PM2.5)とオゾン(CAP+O3)曝露中の血圧反応と、無粒子空気(PFA)を比較した。CAP+O3の2時間後に心拡張期の血圧(DBP)に有意な増加が見られ、DBPの2時間変化とPM2.5の有機炭素粒子濃度の間には強い関係が� ったが、PM2.5総質量との間では強い関係は見られなかった。血圧(BP)の変化の度合いは、PM2.5中の炭素の含有量と関連している。
子供の健康
胎児の発育 | 妊娠期のフタル酸曝露と雄のAGD
妊娠期のフタル酸曝露は、精巣機能に障害をきたし、雄の齧歯動物の肛門と性器の距離(AGD)を短くする。Swanら(p. 1056)は、ヒトの妊娠期フタル酸曝露との関連でAGDとその他の性器測定値を調査した。調査時に、「AGD÷体重=肛門・性器指数(AGI)」とし、回帰分析により年齢調整後のAGIの計算に使用した。フタル酸の総合スコアを、4つのフタル酸代謝物質への共同曝露を量化するために使用した。年齢調整後のAGIはフタル酸スコアの増加につれて有意に減少し、妊娠期における環境レベルのフタル酸曝露は男性の生殖器の発達に悪影響を与える場合が� るという仮説を支持する結果となった。
Science Selections, p. A542も参照
胎児の発育 | WTC事件、DNAアダクト、出産の結果
多環芳香族炭化水素(PAH)は、世界貿易センター(WTC)での火災と都市型の燃焼物質によって放出された毒性汚染物質で� る。PAHに代用できるベンゾ(a)ピレン(BaP)-DNAアダクトは、出生時の悪影響やがんとの関連可能性を持つ遺伝子損傷の原因となる。Pereraら(p. 1062)は、2001年9月11日に妊娠しており、マンハッタン地区の病院に入院・出産した女性の出産時に入手した母体と臍帯の血液中のBaP-DNAアダクトを分析して出生の結果を判断した。環境中のタバコ煙曝露を受けた被験者のアダクトの2倍が、出生時体重が8%、頭囲が3%少ないという推定平均値に対応していた。
喘息 | 喘息の子供に対する空気汚染の影響
Lewisら(p. 1068)は、喘息を持つ小学生から成る縦断集団で、肺機能、環境中微粒子、オゾンの関係を調査した。コルチコステロイド(CS)の使用の維持と上部呼吸器感染症(URI)の存在により、モデルの効果修正を行った。被験者の殆どがアフリカ系アメリカ人で� り、そのうち75%を越える子供たちが慢性喘息患者として診断されていた。汚染物質が1つのモデルと2つのモデルの両方で、多くの回帰によりCSを使用した子供たちの間で環境汚染物質の大量曝露と乏しい肺機能の関係が証明されたが、CSを使用しない子供たちの間ではこの関係は証明されなかった。また同じ関係が、URI症状を持つ子供たちの間で証明され、URI症状を持たない子供たちの間では証明されなかった。
小論文
曝露の査定 | 全国子ども調査
多様な環境マトリックスと生物学的マトリックスの中で、曝露の査定は特定の測定項目に関して高度な方法が開発されるにつれて急速に変化している。子供の発育は、環境汚染物質の曝露によって成人後に続く健康への重大な影響を受ける可能性を持つ重要な時期で� る。この小論文(p. 1076)は、いくつかの曝露問題に関する考え方を提唱し、様々な環境関連代表について言及し、子供の健康に関する横断疫学研究組織で� る全国子ども調査における子供の曝露を査定する最良の方法について記述している。分析におけるいくつかの基準について説明し、長期的な品質管理と品質保証の方法の必要について特に協調している。