大学・公的研究機関等(以下「大学等」という。下記(注)参照)の基礎研究に着目し、産業界の視点からシーズ候補を顕在化させ、大学等と産業界との共同研究によってイノベーションの創出に繋げることを目的とする事業です。
本事業では、「顕在化ステージ」及び「育成ステージ」の研究課題をそれぞれ募集します。
注)「大学等」とは、国立大学、公立大学、私立大学、高等専門学校、国立研究所、公立研究所・公設試験場、研究開発を行っている特殊法人、独立行政法人、公益法人を指します。
大学等の研究報告会等を通じて潜在的なシーズ候補を産業界の視点により顕在化し、産学が協力して実現可能性を検証するための試験及び調査を行います。
イノベーションの創出に向けて、産学が協力して顕在化シーズの実用性を検証するための研究開発(マッチングファンド形式)を行います。
○提案方法
【事業立案者の声(1)】 (JST理事長 北澤 宏一)
「私が大学にいたころ学生たちがチョークの粉のような磁性を持たない小粒子に強い磁場をかけると結晶のように反発しつつ配列する現象を見つけました。サイエンスとしては面白い現象で、良い論文となりました。しかし、何かの役に立つとは思いもよりませんでした。ある企業の方が『固まる前のゴム溶液の中で銅粒子は並びますか?』と聞かれました。これが感圧異方的導電性ゴムの特許となったのです。私の特許60件のうち半分は企業の方からのヒントでした。」
【事業立案者の声(2)】 (JSTプログラムディレクター 今成 真)
「私は会社に入ってから脱硝触媒の研究をしました。当時問題となっていた公害防止のためで、火力発電所の排煙中に含まれ、光化学スモッグの原因となる一酸化窒素をアンモニアで還元して窒素と水にするための触媒に関する研究でした。この時参考になったのが、当時の東京工業試験所(現在の産総研)で実施されていたどの成分が効くかという研究と、名古屋大学で研究されていたこの反応機構に関する研究でした。おかげでなんとか工業的に用いられる触媒を開発でき、この触媒は世界中で使われるようになりました。大学や国研には良いシーズが沢山有るという教訓です。」
科学技術振興機構(JST) 技術展開部 イノベーション創出課