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水の循環 (The Water Cycle, Japanese)

水の循環

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水循環とは?

水の循環とは何でしょうか?それはあらゆる面で「わたし」とすぐに答えることができます!また、一般に水文循環として知られている水循環とは地球の地表面内部、そして大気圏にいたる水の動きと存在について述べたものです。地球の水は常に動いており、液体から蒸気へ、さらに氷へと姿を変え、また液体へと戻るように形が変化しています。その水の循環は何十億年と続いており、地球上の全ての生物は水の存在に頼っています。もし水がなかったら、地球は生物が住むにはかなり不適当な場所だったことでしょう。

水循環の概要

水循環を示した図 水循環を示した図

水の循環には出発点などありませんが、海から始めるのが良いでしょう。水の循環を引き起こす太陽は海水の温度を上げます。海水のいくらかは大気中へ蒸気として蒸発します。蒸発はまた、淡水湖や河川でも起こります。陸地では、植物から蒸散した水や土壌から蒸発した蒸発散が蒸気を大気中に供給します。空気中の僅かな水は氷や雪が融けることなく直接蒸気として蒸発するといった昇華が由来となっています。また、上昇気流が蒸気を温度が低い空気中に持ち上げることで、蒸気が雲へと凝縮します。

気流が雲を地球の周りに動かし、そして雲の粒子は衝突・成長し、降水として空から落ちてきます。雪として落ちてくる水分は、氷冠や氷河として蓄積されます。温暖な気候の場所の雪は春になると融け、雪解け水として陸上を流れます。ほとんどの降水は海へ落ちるものの、陸上に落ちたものは重力によって地表水として地表を流れます。

雨水は河川へ流れ込み、河川流となって海に向って移動します。そのうち、いくらかは湖や河川の淡水として貯えられます。もっとも、全ての雨水が地表水というわけではなく、その多くは地中に吸い込まれます(浸透)。その中でも地中深くに浸透した水は帯水層(水が充満した地下の岩石で長期間にわたって多量の淡水の地下水を溜めておくことができる)へ至り、帯水層へ水を補給します。

地下水のいくらかは地表面近くに存在し、地下水流として地表水(と海)の中へ沁みだすことができます。また地表への開口部を見出すと流れの「源泉」として流出します。そして長い時間をかけて水は動き続け、水循環の「終わり」であり始まりでもある海へと戻ります。


水循環を示した図  水循環を示した図

水循環の要素

米国地質調査所(USGS)は水の循環を16の部分に分けました。

地球規模の水の分布

どれだけの水が地球上(と内部)に存在するか、そしてどこに水はあるのかを探し出します。 .


海洋の水

海洋は水の貯蔵庫です

Picture of an ocean. 多くの水は、水循環で実際に動くというよりも、長期間にわたって海洋に「貯蔵」された状態にいます。世界中の水全ての13億8600万立方キロメートル(3億3250万立方マイル)のうち、およそ13億3800万立方キロメートル(3億2100万立方マイル)が海洋にあると見積もられています。それは水全体の96.5%に相当します。また、海洋は水循環を行う蒸発水の約90%を供給していると見積もられています。

寒い気候の時には、より多くの氷冠と氷河が形成され、他の水循環の部分での水が少なくなるほど、地球全体の水が氷に蓄えられます。暖かい気候の時には逆のことが起こります。最終氷河期の間、氷河は陸地の約1/3を覆い、海面は今日より約122メートル(400フィート)低い位置にありました。約300万年前、地球が今より暖かかったとき、海面は最大50メートル(165フィート)高い位置にあったのです。

変動している海洋

海洋には巨大な量の水を地球の周りに動かす海流があります。海流の動きは水循環と天気に大きな影響を与えます。よく知られているメキシコ湾流はメキシコ湾から大西洋を横切り英国へと動く大西洋の暖流です。メキシコ湾流は、1日に97キロメートル(60マイル)の速度で、地球にある全ての河川水の100倍もの水を動かしています。温暖な気候の所から来たメキシコ湾流は北大西洋に温かい水を運び、イギリス西部のような幾つかの地域の天気に影響を与えます。


蒸発:液体から気体、もしくは蒸気に変化する水

蒸発と蒸発が起こる理由

池からの蒸発を示す写真
. 蒸発は液体から気体または蒸気へと水が変化するプロセスです。蒸発は水が流体の水から大気中の水蒸気として水の循環へと戻っていく第一の方法です。大気中の水分の約90%は、海洋、海、湖、および河川からの蒸発によって供給され、残りの10%は植物の蒸散からきていることが研究によって明らかにされています。

蒸発を起こすには熱(エネルギー)が必要です。水分子同士をつなぐ結合を壊すのにエネルギーが使われます。水が沸点(100oC、212oF)ではすぐに蒸発し、凝固点では非常にゆっくり気化する理由はそのためです。空気の相対的な湿度が100%という飽和状態では蒸発を続けることができません。蒸発のプロセスはその周囲から熱を取り除くことであり、これが皮膚から蒸発した水が体を冷やす理由でもあります。

蒸発と水の循環

大気中へ水が移動する第一の方法が、海洋からの蒸発です。海洋の表面積は大きいため(地球表面の70%以上は海洋によって覆われています)大規模な蒸発が起こるのです。地球規模でみると、水の蒸発量は降水として地球に戻る水の量とほぼ等しくなります。ただし、地域ごとに見ると、これは異なります。海洋では降水より蒸発が多く起こり、陸上では降水のほうが多くなります。海洋から蒸発した水のほとんどは降水として再び海洋へと戻ります。海洋から蒸発した水の約10%だけが陸上へと移動し、降水として落ちます。一旦蒸発すると水の分子は約10日間、空気中に滞在します。


蒸発散:水蒸気が土壌からの蒸発と植物の蒸散によって放出されるプロセス

蒸発散の定義において、湖や海洋のような地球表層の水からの蒸発を含むことがありますが、このウェブサイトでは、蒸発散は地表面から大気中へと失われる水、地下水面の毛管水縁層(多孔質地層帯)からの蒸発、植物の葉を通した地下水の蒸散として定義します。

蒸散作用と植物の葉

植物を覆ったポリ袋の写真. 蒸散作用とは水分が植物を通して運ばれるプロセスです。水分は根から葉の裏側の小さな気孔へと運ばれ、この気孔で水分は蒸気にとなり大気中へと放出されます。蒸散作用は本質的に植物の葉からの水の蒸発です。大気中の水分の約10%が蒸散作用を通して植物から放出されると見積もられています。

植物の蒸散は目に見えないプロセスです。水は葉の表面から蒸発しているものの、葉の「呼吸」を見ることは出来ません。成長する季節には葉はそれ自体の重さよりも何倍もの蒸散をし、大きなオークの樹になると一年に15万1000リットル(4万ガロン)も蒸散できるのです。

蒸散に影響する大気中の要素

植物の蒸散による水の量は地域、また時期により大きく異なります。蒸散率を決定するには多くの要素があります。:


昇華: 氷や雪が融解せずに水蒸気になる変化

ドライアイス(凍っている二酸化炭素)の入ったビーカーを持つ学生の写真。 水の循環に関心のある人達の間では、雪や氷が水に融けずに水蒸気へ変化するプロセスを説明するのに、昇華がよく用いられます。昇華は、ある気象条件で雪が消える一般的な方法です。

実際に昇華が起こっていることを見るのは、少なくとも氷の場合は容易ではありません。氷点下の日に濡れたシャツを外に掛けることで昇華の結果を見ることができます。シャツについた氷はいずれ消えてしまうでしょう。実際に昇華を目で見る最適な方法は、水を使わず、代わりに写真のような二酸化炭素を使用することです。凍った二酸化炭素である「ドライアイス」は固体であり、温度-78.5oC(-109.3oF)で気体へと変化し、昇華します。写真の霧はドライアイスの昇華によって作られた、冷たい二酸化炭素ガスと冷たい湿気の混合物です。

低い相対湿度と乾いた風という気象条件で、昇華は起こり易くなります。また高地のほうが低地よりも大気圧は小さいことから、より高度の高いところでも昇華は起こります。強い日光のようなエネルギーもまた必要です。地球上で大規模な昇華が起こる場所を1つ挙げるとしたら、エレベスト山の南側でしょう。低温、強風、強い日光、非常に低い大気圧、まさに昇華が起こるのに必要なものが揃っているからです。


蒸気、雲、そして湿度として大気中に貯えられる水

大気は水で満ちている

雲の写真。大気は水の巨大な貯蔵庫ではありませんが、地球の周りに水を動かす「高速道路」のようなものです。大気中には常に水があります。雲は最も目に見える形をした大気中の水です。しかし、透明に見える空気さえ、目で見ることが出来ないくらい小さな粒子の水を含んでいます。大気中の水の体積は常に約1万2900万立方キロメートル(3100立方マイル)あります。もし大気中の水が全て一斉に雨になったら、地面を2.5cm、つまり約1インチの深さの水が覆ってしまいます。


凝縮: 蒸気から液体に変化する水

せまってくる暴風雨の写真。 凝縮は水蒸気が液体の水に変わるプロセスです。 雲を形成するプロセスであり、このため凝縮は水の循環において重要です。 雲は水が地球へ戻る主な方法でもある降水を作り出します。 凝縮は蒸発の反対です。

凝縮は霧や冷たい部屋から暑い外へ出たときに眼鏡が曇る現象、ガラスのコップの外側についた水滴、寒い日に家の窓の内側についた水といった現象の原因となります。

空気中の凝縮

極めて澄み通った青空で、雲がなくても、水は水蒸気として見ることが出来ないくらい小さい水滴の形で青空にも存在しています。水分子は空気中のほこり、塩、及び煙の小さな粒子と結合して雲の粒を作ります。それが成長し雲へと発達するのです。水滴が互いに結合し、大きくなるように雲は成長し、そして降水を起こすのです。

水蒸気を含む空気が上昇し冷えることで、雲は大気中で形成されます。太陽が地球表面近くの空気を温めると、空気は軽くなり、温度が低くなるところまで上昇します。空気が冷やされると凝縮が起こりやすくなり、雲が出来ます。


降水:雲の外へ水が放出されること

降水とは雨、みぞれ、雪、もしくは霰の形で雲から放出された水のことです。大気中の水が地球へ戻る主な方法です。ほとんどの降水は雨として降ります。

雨粒はどのように出来るか?

嵐の写真。 空高く浮かぶ雲は水蒸気と雲の粒を含んでいますが,それらは降水として落ちるにはまだ小さすぎるます。目に見える雲を作るくらいの大きさです。空では、水は絶えず蒸発し凝縮しています。雲の中にある凝縮した水の大部分は雲を支える上昇気流のおかげで降水として落ちることはありません。降水を起こすには小さな水滴が凝縮、結合して、降水として雲から落下するほど大きく重たい滴を作る必要があります。一滴の雨粒を作るには何百万もの雲の粒を要します。

降水率は地理と時期により異なります。

降水量は世界中、一つの国の中、そして一つの都市の中でさえ、同じではありません。例えば、アメリカ合衆国ジョージア州のアトランタでは、夏の雷雨が1つの地域に1インチ以上の雨を降らせる一方で、数キロメートル先の別の地域は乾燥したままです。しかしジョージア州の一ヶ月の降水量はネバダ州ラスベガスの1年間の降水量よりも多いのです。年間平均降水量の世界記録はハワイ州のワイアレアレ山で、1年に平均1140センチメートル(450インチ)降ります。これはチリのアリカと対照的で、アリカでは14年間全く雨が降りませんでした。

下の地図は世界における年間平均降水量をミリメートルとインチで表わしたものです。淡緑色の部分は「砂漠」です。アフリカのサハラ地域が砂漠だとは誰もが思うでしょうが、グリーンランドと南極大陸の大部分までもが砂漠だと思うでしょうか?

年間平均降水量を示す世界地図.


氷、氷河、そして雪に貯えられる水

世界中の氷冠

グリーンランドの氷冠の衛星写真. 氷、雪、氷河中に長い間蓄えられた水は地球全体の水循環の一部でもあります。グリーンランドの氷冠が、地球全体にある氷の塊の10%を含む一方で、地球上の氷の塊のほとんど、90%は南極大陸にあるのです。グリーンランドでは、氷冠の厚さは平均して約1500メートル(5000フィート)に達しますが、4300メートル(1万4000フィート)の厚さに達するところもあります。

行き来する氷と氷河

普段、人々が気づくほどではないけれど、地球全体の気候は常に変化しています。恐竜が生きていた約1億年前のように多くの温暖な期間があり、約2万年前の最終氷河期のような多くの寒い期間がありました。最終氷河期には北半球の大部分は氷と氷河で覆われていました。

約2万年前の氷河分布を表わした世界地図

氷河と氷冠の実際


流れへとつながる雪解け水:

アメリカ、カルフォルニア州における雪解け水の写真世界規模で見ると、雪解けからの流去水は世界的な水移動の主な部分です。寒い気候では、春の流去水と河川流水の多くは解けた雪と氷が由来です。急速な雪解け水は氾濫の他にも地すべりと土石流の引き金となりえます。

雪解け水の河川流への影響を理解するには、下の水位図を見るとよいでしょう。アメリカ合衆国カルフォルニア州、ノースフォークダムにおけるノースフォークアメリカ川の4年間の日平均河川流量(毎日の平均河川流量)を表わした水位図です。図の大きなピークは主に雪が解けた結果です。2000年3月の最小日平均河川流量は秒あたり1200立方フィートでしたが、雪が完全に融けた後の8月は河川流量が秒あたり55-77立方フィートと非常に少なくなっています。

アメリカ合衆国カルフォルニア州のノースフォークダムにおけるノースフォークアメリカ川の日平均河川流量を示した水位図。

雪解けからの流去水は季節によって、また年によっても変化します。2001年の非常に少ない河川流量と2000年の河川流量の高いピークを比較しましょう。2001年、カルフォルニア州のこの地域は大きな干ばつが襲ったようです。冬の間に積雪として貯えられた水が少ない場合、その年の残りの間、利用できる水が少なくなる可能性があります。このことは下流にある貯水池の水量に影響を与え、次に、灌漑に利用される水や人々へ供給する水道に影響を与える可能性があります。


表面流去水:土壌表面を伝わり川へと至る雨水の流れ

表面流去水とは地表面の雨水の流れです。

多くの人々はおそらく、降水は陸に降り、陸を流れ(流去水)、そして河川へ流れ込み、河川は海へと注がれると考えています。河川は大地から水をもらったり、大地へ水を与えたりするので、実際はもっと複雑です。それでも河川水の多くは表面流去水となった雨水の流水が直接由来します。

暴風雨の間、道路から小川に流れ込む、堆積物で満たされた流去水を示した写真. 通常、降った雨は地面に浸透しますが、水に飽和した大地、または舗装道路や駐車場のような不浸透性の地面に雨が当たると、それは下り斜面に沿って流去水として流れ始めます。大雨の間、下り斜面を流れる水の小さな小川を見たことがあるかもしれません。水は川の中へ移動するよう地面の経路に沿って流れるでしょう。この写真は、どのくらいの表面流去水(ここでは道路を流れますが)が小川へ入るかを示したものです。この場合の流去水はむき出しの土壌を流れ、河川へ堆積物を移動します(水質にとっては悪いことです)。そして、この支流に流れ込んだ流去水は海へ戻る旅を始めるのです。

水循環の他の部分と同じように、降水と表面流去水の相互作用は時期と地理により異なります。アマゾンのジャングルとアメリカ合衆国南西の砂漠で起こる暴風雨では同じものでも異なる表面流去水のパターンを生み出します。表面流去水は気象学の要素と地質物性や陸の地形の両方に影響されます。陸への降水の約3分の1だけが小川や河川に流入して海に戻ります。残りの3分の2は蒸発、蒸散、もしくは地下水へと浸透します。また、表面流去水は人々が利用できる水でもあります。


河川流: 河川での水の動き

米国地質調査所(USGS)は、河川、川、小川の中を流れる水の量を表現するのに「河川流量」という用語を使います。

河川の重要性

川遊びする人々の写真 河川は人々にだけ重要なのではなく、いたるところにいる生物にとっても重要です。遊んでいる人々(そして犬達)にとって素晴らしい場所というだけではなく、人は飲み水として、灌漑水として、電気を作るために、トイレ等の排出物を流すために(可能であれば処理された排出物)、食料を得るために利用します。河川は全ての種類の植物と動物にとって重要なのです。河川は河床を通して下向きに水を放出することによって地下の帯水層を満たす手伝いをします。そして、もちろん、河川が海に流れ込むおかげで海は水で満たされた状態にあるのです。

分水界と河川

河川について考えるとき、河川の分水界について考えるのは重要です。 分水界とは何でしょうか? たった今、地面に立っているのなら、直ちに下を見てください。あなたは分水界の中に立っていますし、皆も分水界の中に立っています。分水界は、そこへ落ちた水が同じ地点へと流れることになる陸の領域のことです。分水界は泥の中にある足跡のように小さくも有り得るし、メキシコ湾に注ぎ込むミシシッピ川の中に水が流れ込む全ての大地のように大きくもなりえます。小さな分水界は、より大きな分水界に含まれます。分水界は、河川水量と河川の水質が、人が誘発するか否かに関らず、分水界の中で起こった事柄に影響されるので重要です。

河川流量は常に変化します

洪水となった低流量な時と洪水の時の都市の小川の写真。河川流量は日々刻々と変化します。もちろん、河川流量へ影響を及ぼすのは分水界内に落ちた降水の流去水です。雨水は河川水位の上昇を引き起こし、また分水界内の非常に遠いところで雨が降っても河川の水位は上昇できます。ここで覚えておくのは分水界内に降った水の多くは外部流出地点で結局は流出されることです。河川の規模はその分水界の規模に依存します。大きな河川は大きな分水界を持ち、小さな河川はより小さな分水界を持つのです。同様に異なった大きさの河川は嵐や降雨に対してそれぞれ異なる反応をします。大きな河川は小さな河川よりも水位はゆっくり上昇し、ゆっくり下がるのです。小さな分水界では、河川の水位は数分もしくは数時間で上昇し、下がります。大きな河川は水位の上昇と降下に何日も要し、氾濫は何日にも及びます。


淡水の貯蔵庫:地球表面にある淡水

地球上の全ての生命にとって大切な水の循環の一つは、陸上に存在する淡水です。あなたの隣人や、トマト、マス、厄介者の蚊に聞いてみてください。地表水には川、池、湖、貯水池(人工湖)、そして淡水の湿地が含まれます。

河川と湖の水量は流入と流出のために常に変化しています。流入は、降水、地表水、地下水の流入、支流の流入があります。湖や河川からの流出には蒸発や地下水への供給を含みます。人間もまた必要な分の地表水を使用します。地表水の量と位置は自然や人間の如何に関らず、時間と場所で変化します。

地表水は生命を維持します。

エジプト、デルタナイルの衛星写真。 エジプト、ナイルデルタの写真が示すように、利用できる地表水(もしくは地下水)の供給さえあれば、生命は砂漠で花咲くことさえ出来ます。地表の水は本当に生命を支えているのです。地表水が地下に浸透することで、地下の透水層に地下水が存在しています。塩水である海に生きる魚は淡水の影響がないと思うかもしれませんが、海洋を満たす淡水がなければ、蒸発によって海水の塩分濃度が高くなり、魚が生きることさえできないほど高塩濃度になるかもしれません。

淡水は地球表面上で相対的に稀です。地球上の水のうち、約3%だけが淡水であり、淡水湖や湿地は地球の淡水の0.29%しか占めないのです。全ての淡水の20%がアジアのバイカル湖という湖にあります。もう20%はアメリカ合衆国の五大湖(ヒューロン湖、ミシガン湖、スペリオル湖)にあります。河川は世界の全淡水の約0.006%しか持たないのです。これであなたは、地球のすべての水をバケツ一杯に例えると、「そのバケツの中の一滴」だけによって地球上の生命が生かされていると分ったことでしょう!


浸透:地表面から地表面より下の土壌や岩石へと水が降下する動きのこと

地下水は降水から始まります。

アメリカ合衆国ジョージア州の洞窟中の消えてしまう水の流れの写真.世界中どこでも、雨や雪として地表に落ちた水は地表面下の土壌と岩石に浸透します。どの程度浸透するかは多くの要素に依存します。グリーンランドの氷冠の上に降った降水の浸透は非常に小さい一方で、アメリカ合衆国ジョージア州の洞窟中に消えていく流れの写真のように、川の流れが直接、地下水へ消えることも出来るのです!

浸透する水のうちいくらかは浅い土壌層に留まります。そして川の土手での流入として川に入ります。それらの水は地下水の帯水層へ水を供給します。水が簡単に通れるほどの多孔質の帯水層であれば、人々はこの帯水層まで井戸を掘り、自らのために水を利用できます。水は長い距離を移動するか、地表面に戻る前や小川や海洋のような他の水域に滲み出る前の長い期間、地下水の貯蔵庫に残っているることがあります。

地表下の水

降水が地面にどう滲み込むかを示した図。. 降水が地表下の土壌の中に浸透するように、通常、水の不飽和帯と飽和帯が形成されます。不飽和帯では、地表下の岩石中の開口部に若干の水が存在しますが、大地は飽和していません。不飽和帯の上部は土壌帯です。土壌帯は降水が浸透できる植物の根で作られた空間を持っています。この土壌帯中の水は植物によって使われます。不飽和帯より下部は岩石と土壌粒子の間にある空間が完全に水で満たされた飽和帯です。人々はこの帯まで井戸を掘ることで水を汲み出すことができます。


地下水の貯蔵庫:地表下で長い期間存在する水

水循環の一部分として貯えられた水

多量の水が大地に貯えられます。それでもまだ水は非常にゆっくり動き、水循環の一部を担います。大地の水の大部分は、地表から下に浸透した降水に由来するものです。土壌の上部層は不飽和帯で、ここに存在する水の量は時間が経つにつれ変化しますが、土壌は飽和しません。この層の下が飽和帯であり、ここでは岩石の粒子間の全ての孔隙、割れ目、空間を水が飽和しています。地下水と言う用語はこの領域を説明するのに使われます。膨大な地下水は帯水層に貯えられ、世界中の人々は毎日の生活を地下水に頼っています。

水を見つけるには、ある面・・・地下水面を見ましょう。

地下水面を示す海辺に掘った巨大な穴の写真。地下水面以下ではすべての土壌が水に飽和している。暑い太陽の下、海辺でこの穴を掘るのに私が費やした一時間の価値を理解してくれることを願います。なぜなら、もし大地の浸透性がよければ、ある深さにおいて地面がどのように水で飽和されているかという概念を説明するのに素晴らしい方法なのです。たまり水の上面が地下水面です。海の波はこの穴の右側にあり、この穴の地下水面は海水面と同じ高さです。もちろん、潮の満ち干きによって穴の地下水面も動くので、ここでの地下水面は潮汐の動きによって秒毎に変化します。

ある意味で、この穴は地下水に到達するための井戸に似ています。もしこの写真が淡水を表わしていたら、人々はバケツを使って水を汲むことが出来るでしょう。実際、海辺でバケツを使って、この穴の水を空っぽにしようとしても、砂が非常に浸透性が高いため、砂を通じてすぐに水が入ってきて穴を満たしてしまいます。淡水に至るには、人々は帯水層へ届くほど深く井戸を掘る必要があります。井戸は何十、何千フィートもの深さでなければならないかもしれません。しかし、概念は海辺の穴と同じで、岩石の空隙を水が満たした飽和帯の水に到達することなのです。


地下水放出: 大地から出た水の動き

アメリカ合衆国アイダホ州、高流量での地下水の放出の写真 湖、河川、氷、雨、雪など毎日身の回りで水を見かけます。目に見えない大量の水も有ります-地下に存在し,動いている水です。人々は数千年間にわたり地下水を利用し続け、今日もまた主に飲み水と灌漑として使い続けています。地球の生命はまさに地表にある水と同じように、地下水に頼っているのです。

地下水は地下を流れます。

どのように降水が大地に浸透し、大地の中を動くかを示した図。. 地上に降った降水のうち大地に浸透するものが地下水となります。一旦、地面に入ると、この水のいくらかは地表面近くを旅し、河床への再供給として非常に短時間に流出しますが、多くは重力のため、大地深く沁み続けます。

この図が示すように地下水の動く方向と速さは帯水層と被圧層(水が入り込むのが難しい高密度の岩石)の様々な特徴で決まります。地下の水の動きは地下の岩石の浸透率(水が動き易いか、動きにくいか)と孔隙率(物質の中に存在する開放的な空間の量)に依存します。水が岩石の中を比較的自由に動けるならば、地下水は何日かで長距離を移動できます。しかしまた地下水は深い帯水層へもぐりこむことも出来、そこでは、水が再び地表環境へ戻るのに何千年もかかります。


源泉:地下水が地面へ供給される場所

源泉とは?

アメリカ合衆国ミズーリ州の天然泉の写真源泉は水が地表に溢れ出る所まで、帯水層が水で満たされたことにより生じる。多量の雨の後だけにできる小さな源泉から1日に何億ガロンもの流れをもつ巨大な池まで大きさは様々です。

岩石の種類に関係なく、源泉は作られますが、最もよく見つかるのは割れやすく、酸性になった雨で溶ける石灰岩とドロマイトの中です。岩石が溶け、ひびが入ることで水が流れられる空間が出来るのです。流れが水平であれば、源泉で水は地表面まで到達できます。

湧き水がいつも透明であるとは限りません

水中の鉄分含有量が高いことを示すアメリカ合衆国コロラド州の茶色に色づいた泉の写真. 通常、源泉の水は透明です。しかしながらいくつかの源泉の水はアメリカ合衆国コロラド州の今春の源泉のように「紅茶色」かもしれません。その赤い着色は例えば鉄といった地下にある鉱物に地下水が接することで起こります。源泉から色の濃い水が供給されるのは、水の色が除かれるほど長い間岩石でろ過されることなく、透水層の主要経路を非常に速く水が流れたことを表わします。

温泉

グリーンランドの天然温泉で水浴びする人の写真 温泉は水が暖かいだけで普通の源泉です。ただしアメリカ合衆国ワイオミング州、イエローストーン国立公園にある発泡性泥泉のような非常に熱い場合もあります。多くの温泉は新しい火山活動地域に見つかり、こういった場所では、水は地下深いところで熱い岩石と接することで熱せられます。岩石は深くなるほど温まり、水が地下深くに潜り地表まで続く大きな割れ目に到達すれば温泉が出来ます。温泉は世界中にあり、氷河と共存することさえ出来るのです。このことは写真の幸せそうなグリーンランドの人々を見れば分るでしょう。


地球上の水分配

地球の水がどこに存在するかの詳しい説明のために、下の図と表を見てください。いまやあなたは、水循環は地球の水の動きを表わすものであると理解し、下のチャートと表はある時点の地球の水の存在を示すものと理解できるはずです。もしあなたが数千年、数百万年後に調べて直してみると、これらの数字は今の数字とは違っていることでしょう!

約13億8600万立方キロメートル(3億3250万立方マイル)の世界の水は96%以上が塩水であることに注目しましょう。そして淡水の68%が氷や氷河中にあるのです。その他の淡水の30%は地下にあります。河川や湖のような地上にある淡水はたったの約9万3100立方キロメートル(2万2300立方マイル)であり、全水量の1%の700分の1なのです。それでも河川や湖は毎日人々が使う水の大半の源なのです。

地球上の水分配の棒グラフ。.

地球上の水分配のある見積り:
水源立方キロメートルで表現される水の体積立方体マイルで表わされる水の体積淡水の割合全ての水の割合
海洋、海、そして湾1,338,000,000321,000,000--96.5
氷冠、氷河、そして万年雪24,064,0005,773,00068.71.74
地下水23,400,0005,614,000--1.7
    淡水10,530,0002,526,00030.10.76
    塩水12,870,0003,088,000--0.94
土壌の水分16,5003,9590.050.001
底氷と永久凍土層300,00071,9700.860.022
176,40042,320--0.013
    淡水湖91,00021,8300.260.007
    塩湖85,40020,490--0.006
大気12,9003,0950.040.001
湿地の水11,4702,7520.030.0008
河川2,1205090.0060.0002
生物学的な水1,1202690.0030.0001
合計1,386,000,000332,500,000-100
出典: Gleick, P. H., 1996: Water resources. In Encyclopedia of Climate and Weather, ed. by S. H. Schneider, Oxford University Press, New York, vol. 2, pp.817-823..

Translation Credit

Masatsugu Ogasawara and Mayuko Fukuyama, Geological Survey of Japan, AIST
USGS Contact: Howard Perlman


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Last Modified: Aug 13, 2008
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